自分の考えや意見を相手に伝わりやすいように話すことは、一見簡単そうですが、これはかなり難しいことです。家族や親しい友人との間でも、しばしば思い違いに発展することがあります。ビジネスシーンにおいてはなおさらで「話が長く、分かりにくい」「何が言いたいのか、まったくわからない」などといわれることもあるでしょう。今回は、自分の思いをわかりやすく他人に伝えるための言語スキルとはどうなのか詳しく紹介します。
言語スキルとは
他人に自分の考えや意見に提案などを伝えるのはとても難しいことです。最も親しい関係である夫婦間ですら小さな言葉の行き違いがあり、それが大きな亀裂になることもあります。言語スキルは「ものごとを簡潔に、過不足もなく、誰もが同じイメージを抱けるように表現する能力」です。
同じ会社や学校にいて毎日話し合っていますが、言葉を話したり、書いたりする能力に大きく差がつくこともあります。それが言語スキルの差ともいえるのです。言語スキルは言語化能力といわれる言葉にする力で、「自分が頭の中で考えていることを、言葉に変換し、相手が理解できるように表現し、伝える力」といえます。
言語スキルは奥が深い
毎日無意識で言語を使い、頭に浮かんだことを他人に伝える場合、思いの丈を伝えるのに、語彙が不足していれば正しく伝わりません。また、冗長に述べると論点がぼけるだけです。
読みやすい文章を書く能力も言語スキル
言語スキルは話すことだけではありません。資料を文章としてまとめる場合にも必要になる能力です。プレゼン資料や文書など、とくにビジネスではさまざまな場面で資料を作成する機会があります。読む側が容易に理解できる、簡潔で明瞭な文章を作成することで、自分の意見やアイデアを相手に伝えることが可能です。このように言語スキルはビジネスシーンに身を置く方には欠かせない能力といえます。
言語スキルに必要な要素
言語スキルで必要となる主な要素として、以下の5つが挙げられます。人間の基本的な能力です。
観察力
言語化するためには観察力が必要です。大多数の方に共通する物事へ対する見方を見つけ出し、言葉に変換することが重要です。観察力はものごとに気づく力ともいえ、物事の共通項から本質を見抜くことが重要になります。また、観察力は日ごろから物事に好奇心を持って幅広くアンテナを張り、情報収集することで鍛えられます。
思考力
言語化のためには、自分が考えたことを、相手が十分に理解できるように整理してまとめ、相手が理解しやすい分かりやすい言葉にして、他者に伝える必要があります。自分の頭の中が正確に整理できていなければ、相手に自分の思いを正確に伝えることが難しくなります。この一連の思考経緯では、自身の思考を整理していく力が必要になり、論理的思考が求められるのです。正しい論理の組み立て方が重要で、相手が理解しやすく納得性のある伝え方ができる能力も必要です。
客観的視点
自分の考えや提案に思いなどを相手に正しく伝えるためには、その説明を聞く相手が、どうゆうふうに感じるか考えることが重要です。自分の思いが強すぎ、その点を優先すると独りよがりになり、相手にどう伝わるかを見落としがちです。言語化する目的は「相手に伝えるため」であり、「どう伝わるか」という視座を気にしない傾向があります。それだけに客観的な視点に立って物事を見る姿勢が非常に重要です。
語彙力
言語スキルで重要となる語彙力は、見たり感じたりしたことを頭の中で言葉に変換していく作業において重要な役割を占めています。語彙力が少なければ、適切な表現に変換する作業ができないケースも出てきます。使用する言葉次第で相手が受ける印象も微妙に変わるのです。逆に、語彙力が豊富であれば、より相手に響く言語化の選択肢が増え、正確に伝わる可能性が高くなります。
要約力
要約力とは自分の考えを他人に分かりやすく伝えるために必要となる、要約する力です。長々と話すと聞く側は余分なことに意識がいき、どこが要点なのか分かりにくくなりがちです。とにかく簡潔に短くまとめて話すことを心がけましょう。
言語スキルアップによるメリット
ビジネスシーンは当然ですが、日常生活でも言語スキルは必要です。とくに仕事ができる方の多くは言語スキルに長けています。トップセールスマンや会社の広報担当者は言語スキルの高さが光ります。以下は言語スキルがアップすると得られるメリットです。
提案が通りやすい
どんなに優れた提案であっても、それがそのまま相手に伝わらないと意味がありません。優秀な提案を正確に相手に伝えることが可能であれば、提案が通る可能性も高まります。
物事を整理しまとめる力がつく
頭の中で考えていることを、相手が理解しやすいように内容を整理し、まとめて、理解しやすい簡潔な言葉で伝える能力が身に付くでしょう。それにより、この一連のプロセスも習慣化し、日々思考する際でも物事を整理しながら、構造化して考えるスタイルが身に付きます。
思考を客観的にチェックできる
言語スキルがアップする過程で、自分の思考やアイデアなどを客観的に振り返るメリットもあります。具体的には、「感情のラベリング」といわれ、自分自身が感じていることを言語化して表現することで、感じているストレスを緩和したり、ストレス耐性が高まったりする効果があるとされています。感情のコントロールができるようになることで、冷静に思考ができ、客観的に事象を観察することもできるでしょう。
まとめ
自分の思いを簡潔にまとめ、その思いが相手に正しく伝わるような表現ができるようにする言語スキルは、大切な能力です。とくに、多くのビジネスの世界では相手を納得させる対話が求められ、正しく分かりやすく、しかも興味を惹き付ける会話ができる能力が求められます。それだけに言語スキルの向上が必要になるのです。
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